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モケーとエーガ 戦闘同人ブログ

模型と映画ネタ中心にアレしたりいろいろとゴニョゴニョ

 
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「宇宙の戦士」感想文つづき

 そういえばリボルテック版強化防護服はどうなったのだと思いつつ「宇宙の戦士」評らしきものの続き。

 文庫版巻末で紹介された「論争」は今となっては不毛な意見ばかりだった、というのが前回の結論だったような違ったような。
 とはいえ作品に対する評価自体はそれぞれ意外と的を得ている。中でもひとついい線いっていたのが、オーウェルの「1984年」になぞった書評。
 「宇宙の戦士」を一種のディストピア小説として捉えると、結構しっくり来る。

 だってちょっと考えてみても、クモ戦争はジョニーが志願したあとに勃発しているのである。じゃあデュボア中佐殿やホウ軍曹はどこで負傷したんだ? と疑問がわく。それに強化防護服を最新流行服(ファンシィスーツ)と称してるとすると、ひと昔前はいったいどんな装備でカプセル降下していたのか。

 物語中の人たちはスタートレックTNGなみに行儀よく、ピューリタン天国のような牧歌社会が形成され、犯罪は撃滅しているが、それは元軍人によって運営される管理社会で社会逸脱者に厳罰を処しているからだ。
本文中でも少なくとも四度の宇宙戦争があったと記述されているけど、異星人との戦争はクモと痩せっぽち相手が初。つまりそれ以前は人類同胞に対して武力を行使していたことになる・・独立したがってる宇宙植民地をたたきのめしたとか?

 それにしても「実戦を経験した候補生でなければ士官に任官できない」というハード過ぎる機動歩兵のルールは、ずーっと戦争状態が続いていないと成り立たないじゃないっすか。地球連邦って国家社会主義体制なんですか(映画ではズバリそのものだったが)?

 困ったことに「宇宙の戦士」はひねくれた読み方のほうがSFとして精彩を帯びるのだが、そんな読み方ができるハインライン作品はこの一作だけだ。異例である。変わってる点はほかにもある。
 その一例は時系列が前後していること。ハインライン先生の長編で構成に倒置法を取り入れているのはたしか、「宇宙の戦士」と「夏への扉」だけである。

 さらに、ハインラインの描く若い主人公はほぼ全て数学か何か、天賦の才の持ち主なのだが、ジョニーだけは特別な才能が与えられず、いくら頑張っても勉強が追いつかない。これはハインライン印のジュブナイルをある程度こなした人でないとわからないが、非常に珍しい例外なのである。

 ジョニー・リコ入隊時にはたくさんある兵科の一部門に過ぎなかった陸軍機動歩兵部隊が、後半では文脈的に、地球連邦軍には海軍と機動歩兵しか存在していないような描かれ方に置き換わってしまっている。「歴史と道徳哲学」は退役した機動歩兵でないと教える資格がないかのようだ。

 「機動歩兵では全員が戦うのだ」という理想的軍隊を描いたつもりの設定は、「余計な仕事は民間人を雇う」「強化防護服の整備担当は海軍士官」「傷痍軍人にも働いてもらってます」とした時点であっさり破綻している。
最後のとどめが、誰でも最初に読んだ際には違和感を覚えたであろう、ジョニーのパパの機動歩兵入隊エピソードである。こと家族構成に関してはきわめて独特な描写が多い先生のことであるにしても、これだけは今でもホントに必要だったのかと思ってしまうのだが……。
 その他にもジョニーの鞭打ち五回隊内処分の話など、とっさの思いつきで付け足した的エピソードが散見される。

 だが、こうしたツッコミどころにもかかわらず、「宇宙の戦士」の面白さは揺るがない。ヒューゴー賞受賞四作品のうち「宇宙の戦士」には、やばい創作の神様が降臨しているのである。
 第七章で「もうこれ以上、新兵教育について話すつもりはない」と言い切った直後からまた何十ページも続け、少年犯罪と厳罰についてなど長々と意見を述べてたり・・明らかに、「宇宙の戦士」執筆時、ハインライン先生の筆は抑制を欠いている。後半に行くに従って当初意図したものより内容がどんどん膨らんで、コントロール不能な霊感に突き動かされ「書かされている」感が伝わってくる。

 もともとクリスマス恒例のジュブナイルのつもりで書いた作品がそのように華麗な変容を遂げ、読み終えた編集者ジョン・キャンベルを過激すぎる内容でビビらせた。にもかかわらず無事世に出た。作品のオーラがそうさせているとしか思えない。だから細部が破綻していてもさしたる問題と感じないのである。そして矢野先生が文庫版結びに「この作品が未来への遺産として残るであろう名著であることは間違いない」と予言したとおり、いまも装いを変え版を重ねている。

 わたし自身毎年一度は読み直し、いまでは第一章を読むだけで涙ぐむほどだ・・読むたびに脳内で再生される映画「オレが考えた宇宙の戦士」がカッコ良すぎて感動してしまうためです(笑)


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今年こそ無慈悲に……いやそれだと狼少年みたいだからやめよう。

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