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モケーとエーガ 戦闘同人ブログ

模型と映画ネタ中心にアレしたりいろいろとゴニョゴニョ

 
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唐突に書評

 なぜこんなに唐突にかというと、入院中こんな事ばかり書いてたからであった(笑)

 大好きな欧米の映画や小説で、日本国内において面白いくらい長期間、正当な評価が下されなかった作品が二点ある。【2001年宇宙の旅】と「宇宙の戦士」である。
宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))
(1979/09)
ロバート・A・ハインライン

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 今回は「宇宙の戦士」について。
この作品に長い間ごく冷静な評価が下らなかった原因は、文庫版巻末を読めば一目瞭然。矢野徹先生のポケット版訳者後記に端を発した「ファシズム論争」によって、変にバイアスがかかったせいである。
その評価を要約したら、「時代錯誤のアメリカ帝国主義を賛美するおじいさんの安い哲学と説教。二次大戦から進歩してないカビの生えたSFセンス」という感じであろうか。
 少なくともヒューゴーウィナー四作品中、日本では一番マイナスイメージをもたれた作品であったと思う。ただし国内のハインライン作品ではいちばん版を重ねているという事実もあるので、その分アンチも多いだけなのかも。

 この文庫版巻末、あらためて読むと、ポケット版が発売された六十年代の不穏な空気・・サヨク系インテリゲンチャがモテ期だった頃の、ギラギラした別世界の日本が横たわっている。その趣旨は、SF作家たるもの作品につまらない思想をもりこんでけしからん、いやファシズムSF小説くらいでガタガタぬかしてんじゃねえよ、というツンデレ論争であった。みんなちゃっかり読み込んで心に引っ掛かったから感想を寄せてるくせに、おとなげない(笑)
 そこに書かれた投書の数々に「思想」とか「哲学」なんてムツカシソーな言葉が盛りこまれていたため、1977年発売の文庫版から入ったわれわれ・・強化防護服のイラストにシビれジャケ買いしたガンダマーな小中学生はみんな困惑した(よね?)。初めて本文を読んだ際の印象が「期待した内容と違ってて戦闘シーンとか無いしガンダムほど面白くないなー」だった(でしょ?)。でもって尻切れトンボな結末(最初はそう思ったんだよ!)に当惑しながらあとがきに目を通すと、あの内容である。論争の文脈は漠然と理解できただけで、なんとなくハインライン先生ってガチファシストの説教おじさん?という疑念を刷り込まれてしまった人も多かろう。

 けどそれがわたしに関する限り「疑念」で踏みとどまっていたのは(危険物という最終判断を下して本棚のゴミにならずに済んだのは)、ひとえに本編から伝わってくる「熱量」、プロパガンダ的インチキ臭さとは無縁、と直感に訴えかけてくる、なにかがあったからだ。本物の手応えとかなんとかっていうの?
 それ以前に読み通した一番分厚い本は「ダーティペアの大冒険」(280ページ)という中学一年生にメッセージは伝わった。パワードスーツの活躍シーンはほんのチョビッとだしヒロインが坊主頭だけど、一生懸命読み込んで理解しなければならない大事なことが書いてあるのだ。もっかい読まなきゃ!!!・・ジョニー同様読者にも難関(やま)が設定されていたのである。
げに恐ろしきはハインライン先生(あんたの読解力が拙いだけやんて?)。

 で、時が過ぎ、上に書いた一般的評価がいつのまにか覆っていることを確認できたのが、SFマガジン98年のハインライン特集号。いわく「宇宙の戦士」に盛り込まれていたのは思想や哲学というほど大層なものではなく、ハインラインの素朴な信念に過ぎない、という部分。
わたしもこの評価でぴったりだと思います。

 じつはよく読めば、同様の評価がすでに、文庫版巻末の読者投書で下されている。けど当時は一歩あらぬ方向に進んで、そのファシズム傾向(とやら)をやたらと危険視しちゃったのが脱線の始まり。その後の長期間の不当な評価のきっかけなのだが、当時は冷戦たけなわでベトナム戦争の真っ最中、思考が硬直するのも無理もない。「安易なファシズムを無反省にうのみにするおそれのある中高生クラスの読者への老婆心」伝々という、いまの日本の教育をダメにした思考の雛形が垣間見れる言葉も飛び出して興味深い。
 でもそうした論争が巻き起こった、という事実そのものが、ヒューゴー賞受賞作のポテンシャルってもんなんじゃないすかね。
 SFマガジンで世紀末にハインライン特集が組まれたきっかけ・・【スターシップトゥルーパーズ】映画化にしてからが、アメリカは嫌いだけどアメリカ製おっぱい大好きというポール・ヴァーホーベン監督のアンチファシズムに端を発している。
 映画版の確信犯的原作レイプぶりときたら、癇癪を起こした中学生レベルの幼稚さでちょっと残念であるが(我が国はもっと酷い映像作品を作ったけど・・)、その嫌悪感は文庫版巻末でファシズムを警戒してる人たちに通ずるものがあり、もしかすると本国での評価も日本と似たり寄ったりなのかなと思ってしまう。ただしブッシュ政権下のアメリカではその後【スターシップトゥルーパーズ】をベースにしたカートゥーン(こちらは宇宙海兵隊が普通に活躍する話)が制作されたりしてるのが日本との大きな違い。

 つまりそれもこれも、ファンもアンチもみんな気になって仕方ない作品てことなんだよねと綺麗にこじつけたところでなんとなく次回につづくナリよ。


 追伸/リンク先のAmazonカスタマーレビューもぜひ目を通していただきたい。文庫巻末の書評と比べると、日本人も進歩してるってわかります。


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Author: ながと
今年こそ無慈悲に……いやそれだと狼少年みたいだからやめよう。

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